L119A1の刻印

The British Mk18, the L119A1

英軍特殊部隊のMk18ことL119A1について、ARFCOMのelucidate氏が興味深い情報を公開している。これによると、もともと15.7″銃身だったL119A1 (C8 SFW) に、10″銃身のCQBアッパーが改修として導入されたのは、2005年であるそうだ。

L119A1-left
ARFCOM

シリアルナンバー

シリアルナンバーは「製造年 + 製造番号 + 国コード」という情報構造になっている。例えば、1203145GBなら「2012年製で、03145番目の個体で、グレートブリテン向け」という意味。下の写真は0000001GBのC8 SFW。製造番号がナンバリング機で別途刻印されている。(ちなみにL119A1の選定/採用は2000年。C8 SFW、HK G36、SIG 551が候補として選定に参加した。)

SFW-0000001GB
Christopher R. Bartocci (2004) “Black Rifle II: The M16 into the 21st Century” Collector Grade Publications, p.208

NSNナンバー

初期型については、ディマコ社がカナダ国内で(ロウワー左側面に)NSNナンバーを刻印していた。しかし後期型では、この工程が省略されたため、英軍がマグウェルの右側に刻印している。英軍はUIDステッカーを使わない代わりに、NSNを見やすい位置に表示し、色ペンで管理番号を書いている。(L119A2はマグウェル右側面にNSN 1005-20-008-7499がレーザー刻印されている。)

冒頭にも書いた通り、L119A1は元々15.7″銃身だったが、CQBアッパーの導入によって現在は10″になっている。銃身長が変わっても制式名称はL119A1のままであるが、NSNが異なる点に注意。

  • NSN 1005-21-920-6546 – 元15.7″で10″に改修されたL119A1(付属品含む)
  • NSN 1005-21-921-1160 – 15.7″仕様として支給されたL119A1
  • NSN 1005-20-007-5878 – 10″仕様として支給されたL119A1

セレクター

セレクターの刻印も米国製と異なり、「S – R – AUTO」になっている。これは「Safe – Repetition – Automatic」の略。細部に着目すると、Rの刻印位置は完全な中央ではなく、Rの右脚がセレクターの先端に合うように刻印されている。

個体例

① 2000年製、製造番号00301

L119A1-0000301GB
ARFCOM

この記事の最初と最後に載せてある写真と同じ個体。

L119A1の写真としては非常に有名なものなので、写真の出所を紹介しておきたい。まず、写真のEXIF情報によると、2008年に撮影された。また、Augee氏によると、米空軍の隊員が撮影し、ARFCOMに投稿した(撮影者はABUを着ている)。

見切れているが、左側面にNSNが刻印されている初期型ロウワー。ロウワーと同じ製造番号がアッパーにも刻印されている。

elucidate氏によると、この銃の持ち主は、SASではなくSBSの隊員だと考えられる。なぜなら、アーマラー達の声や実例の写真によると、アッパーにシリアルを刻印することはSBSに特有だという。

② 2000年製、製造番号00330

L119A1-0000330GB
Christopher R. Bartocci (2004) “Black Rifle II: The M16 into the 21st Century” Collector Grade Publications, p.219

上の個体①と同時期に製造された個体。

NSN 1005-21-920-6546の刻印と、米コルト社とのライセンス契約を示す刻印 (MADE IN CANADA UNDER LICENCE FROM COLT’S MFG. CO. INC.) が確認できる。

③ 2007年製、製造番号02011

L119A1-0702011GB
Alamy

左側面にNSNが刻印されていない後期型ロウワー。マグウェル右側面に何らかの形で刻印されているはず。初期型から後期型に切り替わった具体的な時期は不明。

セレクター刻印を確認しやすい写真。「Rの右脚がセレクターの先端に合う」という指摘も、この写真で説明がつく。

④ 2012年製、製造番号03145

L119A1-1203145GB
DVIDS

ディマコ社のロゴではなく、コルトカナダ社のロゴが刻印されている。コルト社がディマコ社を買収したのは2005年5月。しかし、別の情報源によると、刻印のロゴがディマコからコルトカナダに変わったのは2010年頃だそうだ。

アッパーにシリアルが刻印されているが、この銃の持ち主はSBSではなく、原潜基地や核運搬車両を警護する英海兵隊の第43艦艇防護群である。第43艦艇防護群は、英軍で初めてL85A2をL119A1に更新した非UKSF部隊。

以上の個体例から、L119A1のロウワーは3種類に分類できる。

  • 第1世代 – NSN入りディマコ刻印(前期型)
  • 第2世代 – NSN無しディマコ刻印(後期型)
  • 第3世代 – NSN無しコルトカナダ刻印

アッパーレシーバー

今回の情報を提供しているスレ主は、SASが放出したL119A1アッパーを所有していて、そのフォージマークは「セロ・フォージ社 / ディマコ社」である。このフォージマークは米軍のM4カービンにも見られるが、L119A1アッパーとM4アッパーは形状が異なることに注意(例えば、レールのスロットの数が一つ多い、レール前端/後端の角が落とされている)。また、M4アッパーなら「M4」刻印がある位置に、L119A1アッパーには「1913」刻印がある。百聞は一見に如かず。

カナダは米コルト社に先駆けてフラットトップアッパーを開発した。当時はまだMIL-STD-1913が標準化されていなかった。だから、初期のカナダ製アッパーは、現在の1913アッパーと比べてスロットの間隔が狭かった。1913刻印は、「カナディアン・ウィーバーレール」ではなくピカティニーレールに準拠していることを示すものだと思われる。

サイレンサー

刻印とは関係ないが、初耳の情報だったのでメモ。

L119A1のサイレンサーは、シュアファイア社のFA556-SA(FA556-212のサイモンスリーブ対応版)である。フラッシュハイダーはFH556-216Aを使用する。このハイダーは、UKSFが2015年から導入しているL119A2にも使用されている。

L119A1-right
ARFCOM

elucidate氏はL119A2の情報も公開しているので、興味があればどうぞ。