概要
Next Generation Aiming Laser (NGAL) は、米国のL3Harris Technologies1が開発・製造する多機能レーザー照準具2である。主な機能として、赤色VIS / IRレーザーとIRイルミネーターを有する3。開発当時の旧名は Miniature Aiming Laser (MAL) で、今でも付属品の品番にその名残がある。
- 2016年7月、Soldier Systemsの記事で初公開された。
- 2016~2017年、特殊部隊で運用が開始された4。
- ドイツ陸軍KSKは、NGALを最初に取得した特殊部隊のひとつと考えられる5。
- 2018年9月、Miniature Aiming System – Laser (MAS-L) Squad Aiming Laser (SAL) として、米軍特殊部隊 (SOCOM) に採用された。
- SOPMOD Block 2 (MDNS) で採用された Insight ATPIAL (LA-5/PEQ) の後継にあたる。
- SALの選定候補は、B.E. Meyers MAWL、L3Harris NGAL、Wilcox RAID Xの3品種であった6。
- 2019年4月、米軍の制式名 LA-23/PEQ として、NSN 5855-01-680-0712 が付与された。
高出力のため官公庁限定であり、民間人への販売は規制されているが、グレーマーケットを通じて民間でもわずかに流通している。その魅力と希少性から、禁断のチョコレートバー (forbidden chocolate bar) という異名をもつ。ATPIAL-Cのような民間モデルの発売が噂されていたが、公式発表はまだない。






世代
NGALは、筐体の外見と機能から、3つの世代に分けられる。これは筆者による非公式の分類である。なお、NGALのエアソフト用レプリカも「第n世代」と称して販売されているが、その世代区分とは無関係である。
| 仕様・特徴 | 第1世代 | 第2世代 | 第3世代 |
|---|---|---|---|
| 外見 | ![]() | ![]() | ![]() |
| P/N | MAL-010-A100 | MAL-010-A1 SAL-010-A1 | MAL-010-A1 NGL-010-A1 SAL-010-A1 |
| 初製造 (筆者の確認) | 2016年1月 | 2017年10月 | 2017年12月 |
| 初登場 (筆者の確認) | 2016年7月 | 2018年1月 | 2018年3月 |
| 筐体 | プラ? | アルミ、光沢あり(アノダイズ) | アルミ、光沢なし(コーティング) |
| 刻印 | 凹 | 凹 | 凸 |
| ◀◎▶ | なし | あり | あり、左側面は変形 |
| プラグ | クレーン | LA23 | LA23 |
| VISレーザー出力 | 4.0 mW (Low) 65 mW (High) | *50 / 80 mW (High) | 4.9 mW (Low) 80 mW (High) |
| IRレーザー出力 | 0.6 mW (Low) 25 mW (High) | *15? / 35 mW (High) | 0.6 mW (Low) 35 mW (High) |
| IRイルミ出力 | 3.0 mW (Low) 80 mW (High) | *75 / 90 mW (High) | 2.7 mW (Low) 90 mW (High) |
第1世代:初期型(2016年)
最初のモデル。2016年7月にSoldier Systemsで初公開、2017年にInsight Technologyのカタログに初掲載された。プラ製に見えるチープな筐体が特徴である。










第2世代:過渡期型(2017~2019年)
2018~2019年のSHOT Showで展示されたモデル。金色に輝くアルミ製の筐体7が特徴である。米陸軍デルタフォースで用例がある。
- イルミ調整ネジの周囲の形状を変更
- LA-5/PEQの特徴であった◀◎▶を受け継いだデザインランゲージ
- バッテリーコンパートメント表面の形状をわずかに変更
- この部分のステッカーが小さくなった
- 電池の向きを示すマークを、ステッカー印刷から本体刻印に変更
- バッテリーキャップとその脱落防止リングの形状を変更
側面のステッカーをよく見ると、年によって出力が異なる。2017~2018年モデルは、第1世代よりも出力が低い。2019年モデルは、第3世代と同じ出力である。(上の表を参照)




























第3世代:現行型(2018年~)
現行のモデル。2018年3月に米軍特殊部隊での初用例が確認された。アルミボディに謎のコーティングが施された、マットな質感の筐体が特徴である。




品番・バリエーション
これまでに判明している第3世代NGALのバリエーションを紹介する。これらはすべて、High Powerモデル、TANカラー8、MIL/LE/GOV限定である。
- 000 = レーザー本体と付属品を含むキット
- 010 = レーザー本体のみ
- MAL-010-A1 = プロトタイプ
- NGL-010-A1 = 20m防水仕様
- NGL-010-A3 = A1の単3電池仕様
- NGL-010-A7 = 1m防水仕様
- NGL-010-A8 = A7の単3電池仕様
- SAL-010-A1 = SOCOM仕様 (LA-23/PEQ)
MAL-010-A1:プロトタイプ
- 第2世代と同じ品番
- NGALではなく、MALと呼ばれていた時期に生産された
- 2017年製の第3世代は異例!
- ステッカーの色に赤みがあるのが特徴







NGL-010-A1:20m防水仕様
- "NGAL KIT, HIGH POWER, TAN" (ADSカタログ)
- 20メートル防水認定 (1時間)
- 66フィート (20メートル) 防水の軍用規格に合わせて作られ、66フィートで防水を試験・認定されたモデル
- CR123A電池 (1本) 仕様
- NGL-000-A1キットの内容
- NGL-010-A1: NGAL System, High Power, 20 Meter, Tan
- MAL-092-A1: Pattern Generator Kit
- MAL-097-A1: Remote Assembly, 2 Button, Tape, Tan, 6"
- NGLHP-QRG-ITI: Quick Reference Guide, NGAL
- NGLHP-TM-ITI: Operator Manual, NGAL
- 4B949: Bag, Carrying (refer to A3186949)
- DL123ABK: Battery, Lithium, 3 Volts
- MHW-020-55: Hex Key, 5/64, Blk
- NSN 5855-01-668-3905 (2017/11/21)
- カナダ、韓国向け
- NSN 5855-01-675-0741 (2018/08/21)
- 米国、イタリア、フィンランド、イスラエル向け
- 価格:$2,988.48 (ADSカタログ)、$??? (NSNデータ)
- 個体例
- S/N 1010**, DATE APR18
- S/N 1023**, DATE FEB19
- S/N 1025**, DATE MAR19
- S/N 1090**, DATE OCT20
- S/N 1095**, DATE MAY21
- S/N 1143**, DATE JAN22
- S/N 1172**, DATE MAR23
- S/N 1174**, DATE MAR23
- S/N 1188**, DATE SEP23

NGL-010-A3:A1の単3電池仕様
- "NGAL KIT, HP, AA, TAN" (ADSカタログ)
- NGL-010-A1の単3電池 (1本) 仕様
- 専用のバッテリーキャップが付属する
- 価格:$2,988.48 (ADSカタログ)

NGL-010-A7:1m防水仕様
- "NGAL KIT, HP, 1 METER, TAN" (ADSカタログ)
- 生産終了 (ディーラーの説明によると)
- 1メートル防水認定 (1時間)
- 66フィート (20メートル) 防水の軍用規格に合わせて作られたが、1メートルで防水を試験・認定されたモデル
- CR123A電池 (1本) 仕様
- NGL-000-A7キットの付属品はNGL-000-A1と同じ
- 価格:$2,929.88 (ADSカタログ)
- 個体例
- S/N 1050**, DATE APR20
- S/N 1153**, DATE JAN22
NGL-010-A8:A7の単3電池仕様
- "NGAL KIT, HP, AA, 1 METER, TAN" (ADSカタログ)
- NGL-010-A7の単3電池 (1本) 仕様
- 専用のバッテリーキャップが付属する
- 価格:$2,929.88 (ADSカタログ)
SAL-010-A1:SOCOM仕様
- 米軍特殊部隊 (SOCOM) 仕様
- LA-23/PEQ Squad Aiming Laser (SAL)
- NSN 5855-01-680-0712 (2019/04/18)
- USASOC, AFSOC, MARSOC, NSW, SOFSA向け
- ステッカーにNSNが追記され、テキストが5行になった
- CR123A電池 (1本) 仕様
- 価格:$3,000.00 (NSNデータ)
- 2023年製からS/N記載のステッカーが黄色になった
- 個体例
- S/N 1074**, DATE OCT20 以前
- S/N 1089**, DATE MAY20
- S/N 1120**, DATE NOV20
- S/N 1198**, DATE MAR22
- S/N 1286**, DATE JUL23 (黄色ステッカー)
- S/N 1304**, DATE MAR24 (黄色ステッカー)



GSG9仕様?
- 品番不明
- ステッカーが黒色
- 警告マークの位置など、記載内容も異なる

リモートスイッチ
- 純正リモートスイッチは2種類ある
- MAL-063-A1 (1ボタン)
- MAL-097-A1 (2ボタン)
- 丸いボタンを押すと、IRモード設定中でもVISレーザーを照射できる (VISオーバーライド機能)
- ケーブルの長さによってP/Nの末尾が異なる
- A1 = 6" (15cm)
- A2 = 4" (10cm)
- A3 = 9" (23cm)
- A4 = 12" (30cm)
- A5 = 20" (51cm)
- A6 = 34" (86cm)
- プラグは新規格 (通称LA23プラグ)
- VISオーバーライド機能を実現するため
- ATPIAL (LA-5/PEQ) までの旧規格 (通称クレーンプラグ) には対応していない



レビュー
NGL-000-A1の実物フルセットを新品で入手したので、簡潔にレビューする。










開封後の第一印象は「本当に小さい!」であった。ステッカーの文字も非常に細かく、80%に縮小されたミニチュアかと思った。ところどころ、コーティングを塗りなおしたような斑点がある。しかも色が合っていない。しかし、逆説的に、この粗末な見た目が実物らしさにつながっている。レプリカが実物っぽくないのは、きれいすぎるからである。
レーザーの性能は平凡である。IRレーザーのAim Low (AL) モードはClass 1なので、比較的安全に使用できる。VISレーザーとIRレーザーの調整は同期 (co-align) されている。つまり、VISレーザーをゼロインすれば、IRレーザーもゼロインされる。
フルパワー機の最大の魅力は高出力イルミである。ATPIAL-Cなどの民間モデルは、イルミ出力が大幅に制限されているので、使いものにならない。しかも、NGALのイルミはVCSEL (垂直発光) である。edge-emitting (端面発光) のATPIALと比べて、隅々までムラのないきれいな円形ビームを照射できる。Surefire V1ライト (KM1-Dヘッド) のIR Highモード (100mW) と比べると、NGALのIlluminator High (IH) モード (90mW) のほうが、夜間の森の中をより遠くまで照らし、安心して進むことができた。



問題点・将来性
"Next Generation" を冠するNGALであるが、近年は、設計や機能の面でさらに進化したレーザーが登場している。そのため、NGALもすでに時代遅れになりつつある。
フロントサイトと干渉する
NGALのVISレーザーは、米軍SOCOMの定番BUISである、KAC P/N 99051と干渉する。スプラッシュと呼ばれる現象である。NGALを先端に、BUISを手前に装着することで防止できる。


横入れバッテリーではない
NGALの電池は、後端のバッテリーキャップを回し外して交換する。ATPIALと同じ方法である。しかし、NGALのすぐ後ろにスイッチを置いたり、ドットサイトのすぐ前にNGALを置いたりすると、電池交換の妨げになる。
また、銃の反動で電池が前後に動くので、通電が安定しないおそれがある。ATPIALのShock Hardened仕様でバッテリーキャップが改良されたのも、通電を安定させるためである。
これらの理由により、最近のレーザーでは、電池を横から入れる設計 (transverse battery, side-loading battery) が主流になりつつある。

銃軸と光軸の差がある
ハイドラマウントが「銃軸線と照準線の差が大きい」と批判されるように、レーザーの光軸もできるだけ銃軸に近づける設計が主流になりつつある。たとえば、B.E. Meyers DAGIR、SMSLaser Trinityは、発光部が銃身の真上にある。
もちろん、上下のオフセットはなくならないし、光は直進するが弾は落ちる。それでも、左右のオフセットがなくなるだけで、照準具としてはかなり扱いやすくなる。


Shock Hardened 仕様がない?
2010年ごろ、米軍SOCOMに配備されたMK17 SCAR-Hについて、光学機器が故障したり、照準が狂ったりする問題が明らかになった。MK17のボルトがあまりに勢いよく閉鎖するのが原因であった。これを受けて、SOCOMは光学機器を shock hardened (耐衝撃) 仕様に更新することになった。LA-5レーザーは、バッテリーキャップを改良し、内部を樹脂でポッティングした、D型とE型に更新された。
NGALが耐衝撃であるかどうかについては諸説ある。「NGALのMK17対応版が通常版とは別に開発されていた」という言説9もあるし、「NGALはMK17で試験済みである」という言説10もある。MK17対応であると公式に発表されていない以上、どうしても不安は残る。いずれにせよ、7.62以上の機関銃にNGALが載っている例を、筆者は見たことがない11。
Ultra High Power 仕様がない
NGALの前身であるATPIALには、出力が異なる4種類のバリエーションがあった。
- ATPIAL Civilian Power (ATPIAL-C)
- ATPIAL Standard Power (AN/PEQ-15)
- ATPIAL High Power (LA-5, LA-5B, LA-5D/PEQ)
- ATPIAL Ultra High Power (LA-5A, LA-5C, LA-5E/PEQ)
米軍SOCOMでは、HP仕様を5.56用、UHP仕様を7.62以上用として使い分けていた。NGALはHP仕様しかない。NGALのUHP仕様は登場しなかった。
一方、米軍SOCOMは2021年からUHPレーザーを要望し、Squad Aiming Laser – Ultra High Power (SAL-UHP) として、2024年にB.E. Meyers DAGIRを採用した。NGALのUHP仕様としてDAGIRを採用したようなものである。
SAL-UHPの募集はSBIR (中小企業限定入札) で行われた。B.E. Meyers、Wilcox、Envisionの3社が2022年に応札した。大企業であるL3HarrisはSBIRに参加できない。


照射ボタンが押しにくい
リモートスイッチを接続しない場合、本体のFIREボタンを押してレーザーを照射する。しかし、NGALではATPIALよりも、「グローブをはめた指先の感覚だけでは、どこにFIREボタンがあるのか分かりにくい」ということが問題になっている。ジェイミー・コールドウェル氏は、それが最大の不満であると述べている12。
このような声を受けて、2025年に RTK MALSOB (Miniature Aiming Laser, Strap-On Button) という製品が登場した。FIREボタンにかぶせることで、ボタンを大型化するものである。元デルタのチャック・プレスバーグ (Chuck Pressburg) 氏も絶賛している13。

事実上の後継機:Envision RAIL
NGALの生産は現在も続いているが、その開発者はすでにL3Harrisを離れ、2019年に独立している。1987年にInsight Technologyを創業した、ケン・ソリンスキー (Ken Solinsky) 氏である。現在は、Envision Technologyで新しいレーザーを開発している。
Envision RAIL (Rail-mounted Aiming & Illumination Laser) は、NGALの事実上の後継機である。寸法・重量はNGALとほぼ同じであるが、次のような特徴がある。
- VISレーザーの色を選択できる (緑色・赤色)
- 180度の広範囲を照らすIR LEDイルミネーターを搭載 (CQBモード)
- 本体とリモートスイッチのボタン (各2つ) に機能を割り当てできる
- レーザー出力調整 (4段階)、VISオーバーライド、CQBオーバーライドなど
- モードセレクターにプログラムした機能を追加できる拡張性あり
- オンオフ可能なOLEDディスプレイを搭載
- より直感的に設定を確認できる
- 横入れバッテリー
- 民間モデルあり (RAIL-C)
- 一体型レンズカバー
- ゴム製のビキニカバーではない。一気に外して側面にスナップできる
- 上面の小さなネジを回して訓練用に出力を規制する
- ATPIAL, NGALなどの青色ネジの代わり
2025年、米海兵隊がAN/PEQ-16Bの後継機としてEnvision RAILを採用し、AN/PEQ-20の制式名が与えられた。

脚注
- かつての Insight Technology を源流とする、L3Harris Integrated Vision Solutions 部門 ↩︎
- Multi-Function Aiming Laser (MFAL) ↩︎
- エアソフト用レプリカのような、緑色レーザーや白色ライトを照射するNGALは実在しない。 ↩︎
- "According to conversations with the L3 representative, the NGAL has entered active service with special operations elements in 2016 and 2017." (Recoil, 2018/03/02) ↩︎
- 「KSKが新小銃HK416A5用のNGALを取得した」という情報が、2017年2月にDEVTSIXに投稿された。 ↩︎
- TNVC, 2021/03/13 ↩︎
- "Of chief importance is the use of aluminum for the NGAL frame." (Recoil, 2018/03/02) ↩︎
- エアソフト用レプリカのような、黒色のNGALは実在しない。 ↩︎
- Weapon Outfitters, 2023/08/15 ↩︎
- TNVC, 2024/04/11 ↩︎
- MK17 SCAR-HにNGALが載っている例は、わずかにある。 ↩︎
- @1minuteout, 2025/10/18 ↩︎
- @presscheckconsulting, 2025/10/18 ↩︎



